この記事でわかること
床上浸水をした場合、修理費用は保険で請求することができます。
実は火災保険は、火事だけでなく自然災害で発生した損害も補償されるんです。ただすべてOKではなく、たとえば床上浸水は補償対象ですが床下浸水は対象外です。
となると、保険金が支払われる条件が気になってきますよね。さらに補償されるとして、火災保険の請求方法は・・・?
火災保険って、火災の時だけが補償対象じゃないんだ!
くまさん
Tomomi
床上浸水をした場合は、水災として火災保険が適用できるよ。
こんにちは。気象予報士のともみです。
台風や豪雨などで、自宅の床まで水が浸ってしまうと掃除や消毒も大変ですし、修理の費用が出てきて困りますよね。
実はこの修理費用、床上浸水が認められた場合は、火災保険(水災補償付き)で請求することができます。
火災保険ときくと、火事での災害の時しか保険金が出ないと思っている方も多いですが、実は自然災害にも適用されます。
ただ、すべての自然災害に適用されるわけではありません。
例えば、床上浸水は火災保険で補償されますが、床下浸水は補償されません。
そこで、ここでは、
- そもそも床上浸水とは?
- どういうときに床上浸水が火災保険の補償対象として認められるか
- 認められた場合どのように請求できるか
について説明したいと思います。
床上浸水とは?
床上浸水とは、消防庁の「災害報告取扱要領」によって次のように定義されています。
住家の床より上に浸水したもの及び全壊・半壊には該当しないが、土砂竹木のたい積により一時的に居住することができないもの
引用:消防庁「災害報告取扱要領 」
つまり簡単に言うと、
- 家の床より上まで水が浸っている
- 全壊・半壊まではいかない
- 土砂や樹木・竹が積み重なっている
- しばらくの間、住むことができなくなっている
ということになります。
例えば次のようなケースが考えられます。
- 大雨によって川が氾濫し、床の上まで水が入ってきて家具も水浸しになった
- ゲリラ豪雨により、下水道の排水処理が間に合わず、床の上まで浸水した
くまさん
床上浸水と床下浸水の違いは?
床上浸水と床下浸水の違いは、一言でいうと50cm以上か以下か。
国土交通省「川の防災情報」によると次のようになっています。
一般の家屋では、浸水深が50cm未満の場合は床下浸水、50cm以上になると床上浸水する恐れがあります
浸水深 | 浸水程度の目安 |
---|
0~50cm | 床下浸水(大人の膝までつかる) |
50cm~100cm(1.0m) | 床上浸水(大人の腰までつかる) |
引用:国土交通省「川の防災情報」
大人の腰までつかるって、かなり浸水しているってことだね。
くまさん
火災保険が水害に適用されるケース
火災保険が水害に適用されるためには、水災補償を契約していなくてはなりません。
また、建物と家財は別々の補償対象なので、片方だけ火災保険をかけることも両方をかけることもできます。
表にすると次のようになります。
建物と家財に火災保険をかけている | 建物も家財も補償される |
建物だけに火災保険をかけている | 建物だけ補償される |
家財だけに火災保険をかけている | 家財だけ補償される |
火災保険をかけていても、もし建物だけならば、家財が補償されないことになります。
一般的には、持ち家ならば、一軒家であってもマンションであっても、建物と家財の両方に火災保険をかけています。
一軒家とマンションの違いは、マンションの場合は、建物全体が自分のものではないため、自分の専有部分へ火災保険をかけています。
賃貸の場合は、建物は自分のものではないため、家財のみに火災保険をかけているのが一般的です。
とはいえ、火災保険に水災補償がついていたら、なんでも補償されるわけではありません。
損害保険金が支払われるには条件があるのです。
損害保険金が支払われる条件3つ
- 床上浸水をしている
- 地盤面(家の基礎の最も低い部分)から45cmを超えて浸水している
- 新価(新品に立て直すための価額)の30%以上の損害がある
それぞれ詳しくみていきますね。
① 床上浸水をしている
床上浸水とは、これまで見てきたように
- 家の床より上まで水が浸っている
- 全壊・半壊まではいかない
- 土砂や樹木・竹が積み重なっている
- しばらくの間、住むことができなくなっている
かつ
という条件です。
これをみたすと、火災保険が適用されます。
続いて②についてです。
② 地盤面から45cmを超えて浸水
地盤面とは、家の基礎の最も低い部分を言います。
地盤面から45cmを超えて浸水している場合も火災保険が適用されます。
©tenki-academy.com
③ 新価の30%以上の損害がある
新価とは再調達価額ともいい、保険を契約した対象(建物や家財)と同じ程度のものを新たに新築したり購入したりするのに必要な資金のことをいいます。
この再調達価額の30%以上の損害があることが、損害保険金が支払われる条件の3つ目となります。
ただし受け取れる金額は、「新価」と「時価」どちらを保険の契約時に選んでいるかで、受け取ることのできる金額が変わってきます。
- 「新価」とは、同等のものを再築・再購入するのに必要な金額のこと。
- 「時価額」とは、「新価」から経過年数や使用による損耗を差し引いた金額のこと。
©tenki-academy.com
これら損害保険金が支払われる条件3つをみたした上で、なおかつ保険会社がそれを認めた場合に支払われます。
つまり保険会社の判断に左右されるということになります。
そのため、同じように浸水被害にあったお隣さんには保険がおりたのに、自分にはおりなかったということもありえます。
仮に保険がおりたとしても、支払われる金額に差がつくことも考えられます。
こうした保険会社との交渉で損をしないために、最近では火災保険請求の代行サービスもあるので、もし不安な場合は相談するのも1つだと思います。
お家の保険相談センター 公式サイト
損害保険金の支払金額
- 床上浸水をしている
- 地盤面(家の基礎の最も低い部分)から45cmを超えて浸水している
- 新価の30%以上の損害がある
上の3つのどれかに該当した場合、特約がない限り、保険金額を上限として損害保険金が支払われます。
そのため支払われる金額は、原則、損害額から免責金額を差し引いた残りの金額です。
くまさん
免責金額とは、
保険を契約するときに自己負担すると決めた金額のことで、保険会社が保険金を支払う責任がない金額をいいます。
つまり、損害保険金の支払金額は次のようになります。
ところがこれには例外が。
もし保険を契約した際に、時価額より少ない金額を保険金額として設定していた場合は、上の計算式より少ない金額になります。
時価額より少ない金額で保険を契約した場合
「時価額」とは、「新価」から経過年数や使用による損耗を差し引いた金額のことです。
時価額より少ない金額を保険金額として契約した場合、支払われる金額は次のようになります。
そして時価額より少ない金額で保険を契約しているわけなので、
になり、支払われる保険額は、実際の損害額より必ず少ない金額になります。
たとえば、保険を契約した際の時価額が3000万円だったとします。
ですが、保険料をおさえるなどの目的で、火災保険は2000万のものを契約したとします。
そして床上浸水による損害が1000万だった場合、損害保険金として支払われる額は次のようになります。
1000万×(2000万÷3000万)≒ 666万 ≧ 損害保険金額
火災保険の請求方法
step
1被災後の写真を撮る
火災保険を請求するには、被災後の写真が必要となります。
そのため災害後、帰宅して掃除をする前に最初に写真を撮っておくことをおすすめします。
写真を撮っておくことで、罹災(りさい)証明書もとることができます。
罹災証明書とは、地震や風水害等の災害により被災した住家等の被害の程度を市町村が証明するもの(災害対策基本法第90条の2)
罹災証明書は、被害に遭った場所を管轄する消防署または消防出張所で交付されます。
step
2保険会社に損害があったことを連絡
伝える内容は一般的には次のようになります。
Tomomi
step
3必要書類等が送られてくる
保険会社へ連絡すると、保険金を請求するために必要な書類や案内が送られてきます。
内容をよく読んで確認します。
step
4必要書類の提出
保険を請求するための書類を保険会社へ提出します。
必要書類は一般的に以下になります。
- 被害状況がわかる写真やデータ
- 罹災証明書
- 保険金請求書(各保険会社指定の用紙)
- 修理業者などからの修理の見積書や報告書
損害が大きく、請求する保険金の額が高額になるときは、上記に加えてさらに以下が必要になることがあります。
step
5鑑定人の調査
保険会社からの鑑定人が、現場に来て、被害状況の確認・調査を行います。
そして調査結果と契約者からの申請書類や画像・データなどをもとに保険金の支払対象か審査が行われます。
補償対象として認定されると、支払われる保険金の金額が確定します。
この保険金の額については、保険会社が勝手に確定するわけではなく、契約者へ連絡して了解を得てから行われます。
step
6保険金が支払われる
保険金の金額が確定したら、契約者が指定する銀行口座に保険金が支払われます。
火災保険の請求期限は3年
注しなければならないのは、火災保険には時効があるということです。
保険法で、支払事由が発生してから3年と定められています。
保険法 第95条(消滅時効)
保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条又は第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、3年間行わないときは、時効によって消滅する。
火災保険の請求をサポートしてもらいたい方へ
火災保険の請求をしたいけれど、請求するには保険会社に修理の見積書や報告書などの必要書類を提出しなければなりません。
どのくらいの金額になるかなど、それを専門にしている人でないとなかなか判断は難しいですよね。
わからないまま見積書や報告書を作成して、本来受け取ることのできる金額より少なくなってしまったら嫌だな。
くまさん
また、次のようなことも負担になってきます。
1.被災箇所を探す為に、ハシゴなどを使って屋根に登って調査しなければならない
2.傷が被災によるものか経年劣化によるものかの判別が必要
3.被災箇所を適切な角度で写真撮影する必要がある
4.申請可能な箇所を見落としてしまうリスクがある
5.被災箇所が、具体的にいつどの災害によって生じたものかを特定しなければならない
6.被害に見合った適切な額の見積書を作成しなければならない
7.保険会社・鑑定人とのやり取りを正確に行わなければならない
そのため自分で火災保険の請求することが難しいな・・・と思われたかもしれません。
そんなときは、火災保険の請求をサポートしてくれるサービスがあります。
火災保険の請求は、契約者本人でないといけないという保険会社が多いです。
そのため契約者の方が、自分で請求をスムーズに行えるようにサポートしてくれるサービスとなります。
お家の保険相談センターは、次のようなサポートを無料で行っています。
- 実地調査
- 見積書の作成
- 保険会社とのやり取りのアドバイス
そして、実際に点検し、保険金が受け取れる可能性のある箇所がある場合のみ、契約者の方に保険申請をしてもらうものです。
火災保険の請求をサポートしてくれるところまでは無料ですが、実際に保険金が下りた場合、次の2つのどちらかを選ぶことになっています。
- 成果報酬として支払われた保険金の39.8%を支払う
- 保険金を使って被害箇所を修理
実地調査で「申請できる箇所がない」または「申請してみたけれど保険金が下りなかった」場合については費用を支払う必要はありません。
支払われた保険金を使って修理すれば、修理費用代を新たに用意する必要はないのもメリットといえます。
お家の保険相談センター 公式サイト