こんにちは。気象予報士のともみです。
北国にお住いの方には、雪かきなどしなければならなくて、やっかいな雪ですが、
私のように九州・福岡出身で、東京住まいだと、雪は1年に1回積もるかどうかの貴重な気象現象なので、
雪が降りそうな日は、ちょっとワクワクしてしまいます(←精神年齢、8歳?(笑))
とはいえ、通学や通勤のときは、足元が悪くなるだけでなく、交通機関も乱れてしまって大変ですよね。
そこで、どんな気象条件のときに雪が降ったり、大雪になったりするか、自作の雨雪判別表などを使って解説していきますね。
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雪が降る気温や条件は?
雪は寒いと降るってイメージがありますよね。
でも実は、気温が低いだけが理由ではなく、湿度も大切な条件になります。
① 気温と湿度の関係
湿度とは、空気がどのくらい湿っているかを表すものです。
夏場に、空気がジト~っとまとわりつくような蒸し暑い感じになるのは、湿度が高いからです。
では、話を雪に戻しますね。
もし同じ気温ならば、湿度が低い、つまり空気が乾燥しているほど、雪になりやすいです。
空気が乾燥しているほうが、湿っている場合より、空気中に含まれる水分の割合が低いので、より多くの水分を吸収できる余裕があるんです。
そのため、空気が乾燥していると、水分は蒸発していきます。
そして、蒸発するときに、まわりから熱を奪うので、周りの空気は冷やされて気温が下がります。
こうして、降り始めは雨でも、しだいに気温が下がることで、雪に変わることがよくあるんです。
この気温と湿度の関係が下の図になります。
(PC不慣れなゆき、これ作るのに半日かかりました・・・ふぅ。)
*クリックすると画像が拡大します。
絶対にこの折れ線グラフのようになる、というわけではなく、
実際は、雪が降ることで空気が冷やされる効果もあるので、その時々で、少しずつ変わってきたりします。
ただ、だいたいの目安として、雨が雪になる場合は次のようになっています。
- 地上の気温が1℃⇒湿度90%以下
- 地上の気温が2℃⇒湿度80%以下
- 地上の気温が3℃⇒湿度70%以下
- 気温の気温が4℃⇒湿度65%以下
- 地上の気温が5℃⇒湿度60%以下
- 地上の気温が6℃⇒湿度50%以下
地上の気温が高くなるにつれて、湿度は低いほど雪が降りやすくなります。
ただ、気象予報士が実際に雪が降るかどうかの判断をする条件は、地上の気温と湿度だけではありません。
さらに、上空の気温もあわせて考えています。
② 上空の気温も関係
気象予報士は、平地で雪が降るかを予測するとき、地上から約1500m上空の気温が-6℃以下かを目安にしています。
-6℃!!
地上気温の時より、ずいぶん気温が低いんだね。
気温は、地上から上空にいくほど下がっていきます。
その割合は、100m上がると、0.6℃下がります。
地上から1500m上空ということは、地上の気温より9度くらい低いということになります。
登山をするとき、普段より厚着をしていくのは、
標高の高い山は、平野部よりも気温が低くなるからなんだね。
先ほど、地上から約1500m上空の気温が-6℃以下かが目安とお話しましたが、実は例外があります。
関東地方の場合は、地上から約1500m上空の気温が-3℃以下といわれます。
なぜ、関東だけ、通常より3℃高い気温でも雪が降るのでしょうか?
それは、関東地方で雪が降る場合というのは、たいてい関東の南に低気圧が進んでくる時だからです。
引用:気象庁HP
低気圧というのは、その南側では暖かい南寄りの空気が入ってきますが、北側では、冷たい空気が入ってきます。
低気圧が関東の南を進む=関東は低気圧の北側になる
ので、関東には冷たい空気が入ってきて、地上の気温が低くなります。
そのため、地上から1500m上空が-3℃と、通常の雪が降る気温より3℃高くても、雪は解けずに地上まで落ちてくるというわけです。
雪が降り出す気温や湿度の条件はわかったけど、 それが大雪になったりするのは、どうして?
大雪になる場合も、くわしく説明していくね。
大雪になる原因は?
大雪になる目安も、上空の気温が関係してきます。
① 上空の気温
大雪になるのは、地上から5500m上空の気温が-36℃以下と言われています。
天気予報では「上空の強い寒気」などと表現したりします。
短い時間で、雪がどんどん積もっていくほどの雪の降り方になります。
そして、降水量も大雪になる原因です。
② 降水量
同じ降水量だとしても、雨か雪かでは体積が違ってきます。
おおよその目安ですが、
降水量の1mm =降雪量の1cm
と言われています。
ひとくちメモ
降雪量とは、ある時間に降り積もった雪の深さです。
たとえば、1時間に10mmの雨が降ったとします。
ザーザー降りの雨で、たまに足元に水が跳ね返るくらいの強さですが、交通機関が止まったりはしませんよね。
でも、これが雪だとどうでしょう?
10cmの降雪量になりますので、ふだん雪に慣れていない関東から西の太平洋側の地域は、交通機関が乱れてしまうレベルですよね。
このように、同じ降水量でも、それが雪になるか、雨になるかで、社会生活への影響は全然変わってくるのです。